「資格を貸してもらえませんか?」という相談を受けて、私が考えたこと。

 

先日、ある方から一つの相談を受けました。

 

  「施工管理技士の資格を活かして、ある建設会社を手伝ってもらえないだろうか。」

 

詳しく話を聞いてみると、その働き方は一見するととても魅力的に感じました。

 

普段の出勤はほとんど必要なく、本業である個人事業を続けながら関われるということ。

 

さらに、雇用という形になることで健康保険や厚生年金に加入でき、個人事業主として国民健康保険や国民年金に加入する場合と比べて、社会保険料の負担を抑えられる可能性もあります。

 

創業したばかりの個人事業主にとって、毎月の固定費は決して小さな問題ではありません。

 

本業を続けながら社会保険の負担も軽くなり、新たな建設会社とのご縁もできるかもしれない。

 

正直に言えば、「これは良い話かもしれない」と思いました。

 

しかし、その一方で、どうしても心のどこかに引っ掛かるものがありました。

 

「本当に、この働き方でいいのだろうか。」

 

その違和感が消えなかった私は、自分なりに徹底的に調べることにしました。

 

 

建設業法や建設業許可制度、施工管理技士の役割、営業所技術者等や主任技術者の制度などを改めて確認し、国土交通省の資料や行政の公開資料も読み込みました。

 

さらに、建設業許可申請書類も実際に閲覧し、制度がどのように運用されているのかを一つひとつ確認しました。

 

調べれば調べるほど分かったのは、施工管理技士という資格は、単に「名前があればよい」というものではないということです。

 

その資格には責任が伴います。

 

その責任を果たせない状態で資格だけが利用されれば、会社だけでなく資格者本人にも大きな影響が及ぶ可能性があります。

 

 

一方で、「それなら実態を伴う形で関わればいいのではないか」とも考えました。

 

例えば定期的に出勤し、技術的な相談を受けたり、現場を確認したり、若手社員の育成を手伝ったり。

 

そのような関わり方もできるのではないか、と何度も考えました。

 

しかし、それにも大きな課題がありました。

 

私は現在、建設業専門の利益改善コンサルタントとして独立したばかりです。

 

今は一社でも多くの建設会社のお役に立てるよう、利益改善の仕組みづくりや原価管理の研究、資料作成、情報発信、営業活動など、本業に全力で取り組むべき時期です。

 

もし技術者として継続的な責任を負い、その業務に時間を使うことになれば、本来もっとも力を注ぐべき事業への時間は確実に少なくなってしまいます。

 

 

数日間、本当に悩みました。

 

目の前のメリットを選ぶのか。

 

それとも、自分が目指す未来を選ぶのか。

 

 

考え抜いた結果、私は今回のお話を丁重にお断りすることにしました。

 

もちろん、このようなお話をくださったこと自体には本当に感謝しています。

 

だからこそ、自分なりに真剣に考え、調べ、納得した上で結論を出しました。

 

 

今回の出来事を通じて、改めて感じたことがあります。

 

経営判断とは、目先の損得だけで決めるものではないということです。

 

一時的に得をするように見える選択でも、自分が目指す未来から遠ざかるのであれば、それは本当に良い判断とは言えません。

 

建設業界では、人手不足や資格者不足が深刻な課題になっています。

 

だからこそ、その場しのぎの対応ではなく、利益がしっかり残る会社をつくり、人を育てられる環境を整えていくことが、本当の意味での解決につながるのではないでしょうか。

 

利益改善は、単に数字を良くするためではありません。


利益が残れば、人材へ投資できます。

若手を育てる時間も生まれます。

資格取得を応援する余裕もできます。


そして、自社の中で技術が蓄積され、技術者が育ち、会社はさらに強くなっていき、次の世代へ受け継がれていきます。

 


利益改善も、人材育成も、資格取得支援も、私の中ではすべて別々のものではありません。

私は利益改善を起点に、建設会社の経営基盤づくりをワンストップで支援していきたいと考えています。

地域に必要とされる建設会社が、10年後、20年後も元気に存続していくため、

私はこれからも、そんな建設会社を一社でも多く増やせるよう、利益改善という切り口から全力で伴走していきたいと思います。